互いに支えあう関係にある法学と政治学。この二つの学問は、私たちが自由かつ平等な毎日を送るために基盤かつ必須となる学問だ!
法学と政治学は実社会にとって基盤となる学問
法学と政治学は、社会全体が秩序をもって健全かつ平等に運営されるための基盤となる学問だ。このふたつは車の両輪のように互いに大きく関連しあっている。
政治学の目的は、政治の現状を知り、問題がある場合、その原因を追究し是正していくことにほかならない。政治と聞くと、まずは国レベルでの政治を思い浮かべる人も多いだろうが、各自
治体や企業、学校など人が複数集まる場のすべてに政治は存在する。
政治学を知るうえでキーワードとなるのが、ガバナンス(governance)という言葉だ。ガバナンスとは「国をはじめとする各組織を円滑に運営させるために、方針やルールを決めてそれらを組織内で広く行きわたらせる」ことを意味する。つまり、政治学はさまざまな組織でのガバナンスの正しいあり方を追究する学問ともいえる。
政治学分野は大きく分けて国内と国際政治について学ぶ
政治学科では、まず政治の現状を知るために基本的な枠組みや歴史、思想を学ぶ。そして、さまざまある政治学の専門分野で自分が専攻したい学問を選ぶことになる。専門分野は、大きく国内政治と国際政治のふたつの分野に分けることができる。
まず、国内政治分野では、議会や政府、政党、選挙などのあり方や制度などについて学ぶ。現状を知るうえで、その根底となる国内政治の歴史や思想などを学ぶことも欠かせない。
また、国や各地方自治体といった各行政が、実際に作り実行する各政策についても学ぶ。国内に限らず、世界の国々や地域で実施されている政策なども対象とし、さまざまな政策の現状や、その有効な在り方を探る学問として政策学がある。
一方、国際政治分野では、国際情勢の現状を理解するための「知識」とそれを分析する「方法」を学ぶことが必須となる。各国や各地域の政治形態やその歴史などを学ぶことからはじまり個々の事案の原因と解決法を探っていく。
法学を学ぶうえでリーガル・マインドを持つことは必須
法学を学ぶ目的は、憲法をはじめとする民法や刑法などの「六法」の各条文を覚えることではない。
法学の学びの大きな柱は、ふたつある。まずは、さまざまある法律がどのように運用されているのかを過去の判例をもとに学ぶ「解釈論」がある。
また、現存する各法律も、時代の変化に伴い対応していく必要がある。さらには、新しい法律が必要となることも多い。それらを検討していくのが「立法論」だ。
法学を学ぶということは、社会で起きるさまざまな出来事や問題に対し、法的根拠に基づき論理的かつ公平にとらえる力を養うことだ。これをリーガル・マインドと呼ぶ。
法学を学んだ学生の多くは、一般企業や各種公務員への道を進んでいる。たとえば、現在、一般企業ではコンプライアンス(企業が法律や企業倫理を守り活動すること)を重要視しており、それには各種法律の知識が欠かせない。また、公務員を目ざす場合、行政に関連するさまざまな法律(行政法)の知識があれば、アドバンテージとなる。
法曹を目ざす人は「法曹コース」に進むのがイチバン!
裁判官や弁護士、検察官といった法曹を目ざす場合、大学で法学を学ぶことがメインルートとなるが、なかでも法学部内に2019年度から設置された「法曹コース」に進学し優秀な成績を修めると大きなメリットがあることは覚えておきたい。
これまで、学部で法学を学んだ学生が法曹を目ざす場合、学部4年間と法科大学院の2年間、合わせて6年間かけてさまざまな法学を学び、その後、司法試験の受験が必須だった。さらに試験合格後は司法修習という研修(1年間)を経るため、法曹となるのに通常、約8年かかる。
一方、法曹コースに進学し所定の単位をすべて修得すれば、学部を3年間で卒業でき、法科大学院に進学することが認められた。しかも、このコースに在籍する学生で法科大学院が定める一定の要件を満たせば、法科大学院の2年目に在籍したまま、司法試験を受験することも可能となった。つまり、最短約6年間で法曹になれることになったのだ。
法曹コースに進みたいと思ったら、法曹コースがある法学部に進学し、多くの場合、2年次からコースに進むことになる。経済的にも、通常より2年早く活躍できる点でも、法曹を目ざす人にはお勧めのルートといえる。