思考力問題とは「推理力を働かせ、論理的に考えて答えを導く必要がある問題」、「複数の資料などから必要な情報を選び出し、設問の要求に過不足なく応えるように、その情報を組み合わせて解答を作成する問題」、「日常生活や一般的知識と結びつけて思考・判断する必要がある問題」である。要約、下線部内容・理由説明、英問英答、文・段落整序、各種の自由英作文などの設問形式を利用して出題される。ここでは思考力問題の「4つの潮流」、「入試問題における傾向」、「攻略への対策法」について述べようと思う。
元河合塾札幌校講師/「全国大学入試問題正解」巻頭言執筆者 宇佐美 光昭 先生
Ⅰ:英語思考力問題、4つの潮流
思考力問題における4つの潮流とは「英文の要約」、「下線部・図表の内容説明」、「下線部の内容推測」、「資料・図表利用自由英作文」である。
◆ 思考力の成分は、分析力・判断力・推測力・表現力
「英文の要約」と「資料・図表利用自由英作文」では、まず英文・図表を読み解きその内容をつかむ必要がある。英文・図表を分析し、何についてどう書かれているかを判断する。「要約」ではその判断の結果を、指定字数内の日本語で表現し、「自由英作文」ではその判断の結果を念頭に置いて、設問の指示に従い自分の意見を根拠とともに英語で表現する。両者の攻略には分析力、判断力、表現力の活用が必須である。「下線部・図表の内容説明」と「下線部の内容推測」では、下線部・図表自体とそれに続く1~3文を分析し、その意味・内容を判断する。「内容説明」ではその判断の結果を、設問の指示に従い日本語で表現し、「内容推測」ではその判断の結果から、設問の指示する方向に論理的に推測されることを日本語で表現する。両者の攻略には分析力、判断力、表現力が必要であり、加えて「内容推測」には推測力の活用が欠かせない。
◆ 4つの潮流それぞれにおける思考力の働かせ方。英語力が分析力を高める
①「英文からの情報読み取り、整理し、要約する問題」群
特に英文の論理構造をつかむ分析力が、そして情報を取捨選択する判断力と判断の結果を正確に伝える表現力が問われる問題である。設問形式としては、「段落の要旨を述べる問題」、「筆者の考えを説