難関大入試のハイレベルな数学の問題では、各問題の解法を覚えるだけの学習は通常しない。
さまざまな解法に共通する“考え方”に注目し、それらを自分の力にすることが重要になる。
今後、具体的にどんな力を鍛えるべきなのか?
数学の達人・池田洋介先生に教えていただこう。
河合塾数学講師・パフォーマー
池田 洋介 先生
難関大突破力①:「具体」から「一般」を考える力
「木がn本並んでいたら、その隙間はn-1個ある」と言われても、頭はすぐにはその意味に追いついていけない。でも、指を1本ずつ立てていきながら「2本の指の隙間は1つ」「3本の指の隙間は2つ」「4本の指の隙間は3つ」と説明されれば、そこから「n本の隙間はn-1個」をすんなりと受け入れられるはず。
人の脳はいきなり一般の事柄を考えられるようにはできていない。どんな高級な思考もまずは「具体」から始まる。いわば「具体」というのは「一般」に向けての慣らし運転。そこでエンジンが温まって回転を始めることで、ようやく人の頭は「具体」から「一般」への飛躍を成し遂げられるのだ。問題文の中に例えば「n回繰り返す」という文言があり、いきなりそれを考えるのは難しいとき、まずは「2回繰り返す」「3回繰り返す」という具体的なケースで考えてみよう。シグマ記号があれば、具体的に和を書き並べてみよう。漸化式があれば、具体的に最初の数項を求めてみよう。原始的なやり方に思えるかもしれないが、これが難しい問題を考える手がかりとなることが多いのだ。
◆こう鍛える◆
一般的なことを考える前に、まず具体的な値で実験してみる習慣をつける