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第7回 : The greatest hazard in life is to risk nothing./集中できる環境を、自らつくり出すことこそが大切

  • 木村達哉のPower of Words 人生に効くコトバ
  • [2016/9/16]

やめるべきか続けるべきか決断できない…。
やめるべきだろうけどやめられない…。
ずっと続けてきた何かを「やめる」ことには、
勇気と決断力、そして強い意思が必要です。
「やめる・やめない」の判断をするのはあなた自身。
その基準は何なのか、木村先生と考えてみましょう。


Volume 40 : The greatest hazard in life is to risk nothing.

ボブ・マーリー

ジャマイカのレゲエミュージシャン。その音楽と思想は多くの人々に影響を与え、レゲエの神として現在も絶大な人気を博す。

 受験勉強をしていると、「これはやめないとあかんな」と思うことはよくありますよね。今回は2種類の「やめる」について考えてみます。

 まずは、ボブ・マーリーの言葉を紹介しましょう。これは、To try is to risk failure. But risk must be taken because the greatest hazard in life is to risk nothing.の一部です。日本語にすると、「何かに挑戦することは失敗のリスクを負う。でも、そのリスクは負わねばならないんだ。だって人生で一番危険なのは、リスクを何も負わないことなんだから」とでもなるでしょうか。

 受験勉強は不安との闘いです。「合格できるかな」、「この勉強法でいいのかな」と考えて、勉強に集中できないこともある。考えても仕方ないから目の前のことに集中しろ、という助言もときには必要でしょう。でも、冷静な分析を失ったやみくもな勉強はとても危険です。

 たとえば、長文問題を解いていてあまりにも語彙力がないと感じたら、長文問題はいったんやめて、単語集などで語彙力を強化し直したほうがいいかもしれません。英作文の問題集をやっていても上手く書けないのなら、一度その問題集をやめて、英文法の基本的な問題集で知識を整理し直したほうがいい場合も多々あります。判断が難しければ、学校の先生に相談するのもいいですが、先生はあなたのことを全部知り尽くしているわけではありません。自分の受験勉強のプロセスや問題点は、自分が一番理解しているはずです。どんな問題に弱いのかを分析し、今やっている勉強法と比較してみて、もしも「この勉強法はかなり非効率的だ」と思われるのであれば、方向転換してみることも大切です。

 マーリーが言うように、「挑戦する=失敗のリスクを負う」わけですが、結果が出ていないのに続けるほうがリスキーです。そして、リスクを恐れて挑戦しないままでいると、マーリーが言うように「人生で一番危険」な状態になってしまいます。大切なのは現状の分析です。分析した結果、今のやり方を変えたほうがいいのであれば、勇気を持って挑むべきなのです。

必要な方向転換は、
リスクがあっても挑むべし


Volume 41 : 集中できる環境を、自らつくり出すことこそが大切

羽生善治

将棋棋士。26歳のときに将棋界史上初の7タイトル独占の偉業を達成。以来、現在までトップクラスの棋士として活躍している。

 勉強するうえでもっとも大切なのは集中力と継続力であり、どちらが欠けても成績は上がりません。とくに集中力がない人の場合、何時間机に向かっていても、努力している感覚はありません。僕は、生徒たちの「自分なりにがんばっています」は信じていません。なぜなら、本気で努力してきた人は、そんな答え方をしないからです。オリンピック選手はみんな、「努力してきた」と自信を持って答えています。

 この羽生善治さんの言葉は、「集中力は、人に教えてもらったり、聞いて身につくものではない。勝負どころでの集中力を発揮するには、集中できる環境を自らつくり出すことこそが大切だと思っている」の一部です。勉強部屋に遊ぶものがたくさんあったり、手の届くところにスマホが置いてあっていつでもLINEやメールができる環境にあったりする人が、本当に成績を伸ばすことができるでしょうか。

 自分の力を伸ばしたいと心から願うのであれば、勉強以外のものを捨てるぐらいの覚悟があってちょうどいい。僕はそう思っています。ダラダラとテレビを見たりスマホの画面を眺めていたりする人が、本当につかみたい目標をつかめるとは思えないのです。その気になれば、1日に15時間ぐらいは勉強できるはずです。高校生活をエンジョイするなら、それもよし。ただし、それなりの受験結果になってもしょうがないだろうと思っています。

 羽生さんは、「テレビでサッカーの試合を観てていると、解説者が『ここで集中!』『集中力を切らすな』と叫んでいるが、私は、集中力はそんなに簡単にギアチェンジできるとは思えない」とも言っています。集中力が足りないと思う人は、本当に合格したいのかどうかを自問自答しましょう。本当は勉強しているより寝ていたいという願望が心の奥底にあれば、眠くなるのは当然です。合格したいと心から願うのであれば、他の要素は切り捨て、すべてを合格のために捧げるべきだと僕は思っています。そういう人が、不合格になるはずがないですから。

合格を心から願うなら、
一切を捨てる覚悟で臨め!



編集 笹原風花
撮影 荒川潤
スタイリング 眞藤伸子
ヘアメイク 泉雅人


この記事は「螢雪時代2016年10月号」より転載いたしました。

著者プロフィール
木村 達哉先生

木村 達哉先生

灘中学校・高等学校英語科教諭
教壇に立つ傍ら、英単語帳『ユメタン』(アルク)や参考書などを多数執筆。また、「英語教師塾」を立ち上げ、全国的な活動を展開している。近著に『キムタツ式 英語長文速読特訓ゼミ』シリーズ(旺文社)がある。

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