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木村達哉の英語力養成講座[連載・第5回]:基礎トレ編《拡大版》

  • [2017/8/3]

来たる夏に向け、拡大版でお届けする今回。
本編ではリスニング力を高めるための実戦トレーニング法を徹底解説し、「夏の特訓」編では、夏の学習について木村流のアドバイスを伝授する。
さあ、準備も気合いも満タンで夏に挑もう!

【5回の表】
そのリスニング筋、この夏どこまででっかくする!?

反復トレーニングで「自分のもの」にする

 [連載・第4回]では、リスニング力を高めるための基礎トレーニングとして、「正しい音で単語を発音できるようになったうえで、クイックレスポンスができるまで反復すること」が、何よりも有効であるとお伝えしました。今回は、より実戦的なトレーニングに入っていきましょう。

 まず、もっとも大切なのは、量をこなすことです。ただし、ただ漠然とたくさん聞いていたって、リスニング力は上がりません。つまり、質と量の両方が大切だということになります。

 量に関しては個人差がありますが、初心者は毎日聞きたいものです。自分にとってあまり難しくないものからスタートし、1か月に30題から40題程度をこなすようにしましょう。筋トレと同じで、やらないと筋肉が落ちると考えてもらえればいいと思います。とにかく毎日英語を聞くということですね。同じものをくり返し聞いても構いません。調子が良ければ新しいものを聞いてトレーニングし、調子の悪いときは無理をせず、前日にトレーニングしたものを何度か聞き直すといいでしょう。

 質に関しては、すべてが聞き取れれば問題ありませんが、聞き取れない部分については「ディクテーション→分析→シャドーイング」というトレーニングを必ず行い、「自分のもの」にする必要があります。具体的なトレーニング法については下にまとめるので、さっそく今日からやってみてください。

 こうして「自分のもの」になったものは、その後もくり返しトレーニングします。部活動で「うまくなりたい!」と思っていた頃と同じように、「リスニング力を絶対に上げたい!」という強い意志があれば、自然と反復したくなるはずです。リスニング力アップのためのトレーニングは筋トレに似ています。筋トレって自分の筋肉がでっかくなっていくのを意識しながら行うと効果的なんです。リスニングも同じ。「全然聞き取れない」と思いながらやると、効果が薄いのです。「今はまだ聞き取れないけど、リスニングの筋力が大きくなれば、聞けるようになる」くらい気楽に構えながら、とにかく続けてください。正しい方法であきらめずに続ければ、成果は必ず出ます。


リスニング力向上! 実戦トレーニング法

【STEP 1 ディクテーション】
英語のスクリプトを見る前にディクテーションを行うと、効果的に力を伸ばすことができます。音声を途中で止めながら、紙に書き取っていくのです。パソコンのワープロソフトを使ってタイピングしても構いません。書き取れない部分は放っておいてもいいのですが、聞き取ったとおりにカタカナでメモを取っておくと、後から分析する際に役立ちます。


【STEP 2 分析】
聞き取れなかった箇所について、原因を分析します。「知らない単語や表現が含まれていたので意味が取れなかった」のであれば、発音ごと覚えてしまえばいいだけです。一方、「知っている単語や表現なのに聞き取れなかった」場合は要注意。意味は知っていても音は知らなかったか、音が変化したために聞き取れなかったのです。STEP3の方法で音を体に刷り込みましょう。


【STEP 3 シャドーイング】
英文の意味が理解できたら、音声を何度も流し、そのモノマネをします。発音、アクセント、リズム、イントネーションなど、すべてをマネしましょう。最初はスクリプトを見ながらでいいですが、慣れてきたら見ずに発音していきます。これをシャドーイングと言います。シャドーイングができるようになったら、あとはくり返しトレーニングを行います。照れずにマネをしましょうね。


【5回の裏】
受験に役立つ! 今月のヒットフレーズ

before it is too late

役立ち度:★★★★★
難易度:★☆☆☆☆

 before it is too lateは「手遅れにならないうちに」という意味で、シチュエーションによっては「明るいうちに」「深刻になる前に」などと訳すこともできる。受験のみならず実際に英語を使うシーンでも頻繁に出てくるので、フレーズごと覚えておこう。itは現在の状況を漠然と指している代名詞なので、「それが」などと訳さないように。

 読者の中には、夏休みが近づいてものん気に構えて、「まだ大丈夫」なんて言っている人もいるかもしれんが、まったく大丈夫ではないよ。いざ勉強を始めてみると、やるべきことが予想以上に多いことに気づくはずや。なかなか勉強が始められないという人は、まずは計画を立て、それに沿ってとにかく動き出そう。

 Start at once before it is too late!



【夏の特訓スタート!教えて木村先生】夏の学習 Q&A


夏を制するものは受験を制する。これは、多くの先輩たちが証明してきた事実だ。
夏休みを最大限に活かしたいと気合いは十分なものの、具体的にどうすればいいかわからない…。
そんな悩める受験生も、木村先生のアドバイスを読めば大丈夫。さあ、キムタツ流・夏の特訓の始まりだ!


Question:夏から本格的に受験勉強を開始。まずは何からやるべきですか?

 何より大事なことは、志望校合格のために自分に欠けているものを書き出すことや。「単語力がなさすぎる」とか「古文がセンターレベルでも半分も解けない」とかいうように、自分の穴を書き出そう。そして、それらの穴を埋めて合格するためには具体的に何をやるべきで、それぞれにどれくらいの時間がかかりそうなのかも書いていこう。

 こうやって書き出すのは、自分のお尻を叩くためや。焦って焦って、勉強したくするためや。夏から本格的に勉強しようという人の中には、勉強から逃げてきた人もおるんちゃうか。基本姿勢が逃げという人間は、「さあ、やるぞ」と思っても意欲や集中力が持続しない。それを打ち消すためにも、まずは自分ができないこと、今後やらねばならないことを可視化することから始めよう。

【Answer】「自分ができないこと」を書き出し、自分で自分のお尻をたたこう。


Question:計画に従って勉強するのが苦手…。こんな私に合った勉強法はありますか?

 計画は立てたほうが絶対にうまくいく。それは覚えておいてほしい。計画に振り回されるのがイヤだというのは、自分をコントロールできていないってことであり、それ自体が受験においては不利になるんや。

 計画を立てずに漠然と勉強を始めたはいいけど、何をやったらいいかわからずにとりあえず過去問を開く…なんてことをやっていても、絶対に力は伸びないよ。英語長文はこの5冊を終わらせる、数学はこの問題集を終わらせる、日本史はこの時代まで確実に覚える、化学はこの問題集を2周する…いろいろな目標はあれども、「とりあえず始めるか」では絶対に頓挫するし挫折する。必ず「この日までにここまで確実にやる」という締め切りが必要なんや。「この日までに終わらなければ不合格になる」くらいの気持ちで臨もう。

 細かく計画を立てるのが苦手なら、7月末まで、お盆まで、8月末までと、夏休みを3タームに分け、それぞれを締め切りと考えて、それまでに絶対にマスターすべきことを書いて壁に貼っておくといい。合格する受験生は、絶対に夏休みをムダにしない。自分に厳しく、自分で決めたことは何が何でも終わらせよう。

【Answer】夏休みを3タームに分け、目標に期日を定めて必ず成し遂げよう。


Question:学校の補講や予備校の夏期講習をフル活用するコツを教えてください。

 自分に必要なものを見極めて、厳選したものだけを受講することが何よりも大切や。例えば、単語力も文法力もあるけど英作文が苦手という受験生は、英作文の補講を利用したらいい。でも、覚えるべきことを覚えもしないで補講に出ても、あまり意味がない。とくにセンター試験レベルの単語や文法も知らないという場合は、授業なんか受けている場合じゃなくて、まずは覚えることに全力を注がないとあかん。

 これは古文や地歴公民などでも同じ。知恵を絞り出して2次試験の問題が解けるようになるためには、知識が入っているのが前提や。知識のない人間に知恵は生まれないからな。最後にもう一つ。補講や講習でやった内容は、必ずその日のうちに復習し、自分の血肉にしてしまおう。がんばろうぜ!

【Answer】今の自分に必要なものをだけを受講し、やったことはその日のうちに復習しよう。


Question:夏休み終了時までにどのくらいのレベルまで到達すべきですか?

 国公立大学を目指す人は、夏休みが終わるまでに、センター試験で8割くらい取れるようにしておくと、合格が見えてくる。

 目標が定まったら、まずはセンター試験の過去問を解いてみよう。自分の目標点に届かない科目は、基礎力がなく苦手やということになる。英語で言えば、160点がコンスタントに取れないなら、確実にどこか大切な要素が欠けていることになる。それが語彙力なのか読解力なのか論理的思考力なのか、先生などに相談するのもいいが、まずは自分で分析してみよう。

 具体的にどんな勉強をするかは人によるが、科目の特性もある。英語と国語と地歴公民に関しては、8割に届かない場合は知識不足が原因なので、過去問をいくらやってもムダや。覚えていないことをひたすら覚え、覚えながら解き、解きながら覚えていこう。ただ問題を解いていても、それは勉強とは呼ばない。まずは知識を増やそう。一方、数学や物理・化学などは、教科書レベルの基本問題を解いてみて、解けないものを攻略していけばいい。

 さあ、夏休みはこれから。目標達成に向けて、本気を出していこう!

【Answer】「センター8割」に到達できれば、国公立大合格が見えてくる!


編集 笹原風花
撮影 荒川潤


この記事は「螢雪時代2017年8月号」より転載いたしました。

著者プロフィール
木村 達哉先生

木村 達哉先生

灘中学校・高等学校英語科教諭
教壇に立つ傍ら、英単語帳『ユメタン』(アルク)や参考書などを多数執筆。また、「英語教師塾」を立ち上げ、全国的な活動を展開している。近著に『キムタツ式 英語長文速読特訓ゼミ』シリーズ(旺文社)がある。

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