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暗記の極意 [資格試験予備校・碓井先生が受験勉強に使える暗記法を伝授!]

  • 【碓井孝介先生直伝】暗記の極意
  • [2017/5/24]

受験勉強に暗記はつきもの。そこで今回は、高校1年時、全国模試の偏差値35から暗記法を駆使して、大学受験はもちろん、数々の難関試験を突破した碓井孝介先生に、いろいろな科目に応用できる、効率のよい暗記法を教えてもらった。

監修

碓井 孝介先生

≪プロフィール≫
難関資格試験予備校 講師。関西学院大学法学部に現役合格。司法書士試験、公認会計士試験も突破。現在は司法書士実務のかたわら、資格試験予備校の講師として、自ら編み出した暗記法を中心とした勉強法で多くの受講生を合格に導いている。著書は『試験は暗記が9割』(朝日新聞出版)など多数。


情報を覚えやすく加工し、得点力を上げる暗記術!

すべてを覚える必要なし! 頻出部分を効率よく覚える

 暗記は苦手、なかなか覚えられない……という受験生は少なくない。そこで「では、暗記法を工夫したことはありますか?」と碓井先生。「学校では、知識そのものは与えてくれても、知識を消化する(自分のものにする)技術は教えてくれないことが多いもの。教科書や参考書の情報が必ずしも“覚えやすい情報”ではないことに気づくべきです」
 確かに教科書など試験範囲の全ページをすべて丸暗記するのは、物理的に難しい。覚える時に、そこに書かれた情報のポイントを整理・修正して、インプットすべきだという。「ポイント」とはもちろん、出題されやすい部分だ。
 「膨大な情報のなかから“何を”“どのように”覚えるかが重要です。それを意識した合理的な暗記法を駆使して勉強することで、誰もが試験に受かる人に変われるのです」

何度も覚えることが、理解と得点力につながる

 碓井先生の言う暗記事項は、英語や国語の単語・熟語、理科や地歴公民の年号や用語に留まらない。例えば数学などの問題演習も、解法のレパートリーを増やすために公式と計算過程を覚える暗記として、対策すべきだという。「理解することは大切ですが、覚えれば理解はあとからついてきます。知識がないから理解できないのであって、知識を覚えることで理解できるようになるのです」
 暗記には、忘れる前に何度も覚え直すことが不可欠。情報をインプットして24時間以内、1週間後、1カ月後と、間隔を徐々に広げて復習し、長期記憶として定着させることで得点力に結び付けることができる。「復習の際はまず思い出すことに注力し、どうしても思い出せない場合は再度、覚えることに注力するとよいでしょう」

暗記の極意! 3つの鉄則+α

鉄則1:インパクト

印象に残りにくい情報は、インパクトのある情報に変換して覚える。



鉄則2:まとめる

孤立した情報は記憶に留まりにくい。思い出しやすいよう、セットで覚えよう。



鉄則3:しぼる

暗記の対象はもちろん、教材や時間もしぼって効率よく覚えよう。



+α:回数を増やす

情報に何度も触れることで、試験に役立つ確実な知識を定着させる。


インパクト

情報を映像化!
イメージ化暗記法

 人間は文字よりも映像のほうが認識しやすいことを利用した暗記法。下の例のように、文章をなるべく具体的に図で表し、明確に覚えたいキーワードを文字で記入する。

【例文】
 班田収授法は唐の均田制にならったもので、6歳以上の男女に口分田を班給する制度。班田の基礎台帳として戸籍が6年ごとに作成された。また、調・庸賦課の基礎台帳である計帳は毎年作成された。口分田の班給額は、良民男子1人につき2段、良民女子は1人につき1段120歩、私奴婢は良民男子の3分の1。

イメージ化の例



頻出箇所を狙って!
ピンポイント 暗記法

 教科書などを読む際に、試験で狙われやすい部分に○などの印をつける。
 狙われやすいのは、「ココを変えても文章になる部分」と碓井先生。以下のワードは、試験ではその部分を別の情報に差し替えて正誤問題とされやすい。条件や要件は、論理展開や因果関係を問う問題になりやすいので意識的に暗記を。


文末 ~できる、~できない、~すべき など
期間や期限を示す単語 1週間、1カ月 など
限定列挙を示す表現 ~のみ、~しか など
数字情報 100分の1、3000 など
場所や地名 琵琶湖畔に など
条件や要件 ~すれば、~であれば など
接続詞 および、または など
具体的名詞  


表組みの右に記した表現に◯をして数字や関係性を暗記!


記憶の手がかりを!
個数を覚える

 教科書などを読む時は、文中の暗記すべき対象が箇条書きにできるどうかをチェック。例えば、下の文章が箇条書きにできることがわかるだろう。こうした文章を覚える時は、まず「成功させるための条件は3つ!」と、箇条書きの個数を覚える。個数を記憶の入口にすることで過不足なく覚えられる。

【例文】
 2020年、東京オリンピックを成功させるためには、一連の原発事故に関する汚染水問題を収束させる必要がある。また、テロ対策も欠かせないことは言うまでもない。さらに、オリンピック運営を財政面から支えていくために、財政健全化の努力も怠ってはいけない。

「成功の条件は3つある」と頭に入れる


数字情報を圧縮!
1数字1発音の原則

 数字の暗記といえば歴史の年号。語呂合わせが一般的ではあるが、その方法では語呂を作ること自体に時間がかかり、また、すべての年号をきれいに語呂にできない、という難点がある。そこで活用したいのが1=「イ」、2=「ニ」、3=「サ」と、1数字1発音で覚える方法。例えば2017 年を「ニオイナ」として、「ニセンジュウナナ」という8文字を圧縮。さらに音として唱えて聴覚も刺激して暗記。長い数字の羅列は、4字ごとで区切ると暗記しやすい。

【例】
9332クササニ
19231117イクニサイイナニ
523467890921ゴニサシロナハクオクニイ


1数字1音にして何度も唱える!


想起の手がかりを!
頭文字インプット暗記法

 順番に沿って覚えたい情報は、頭文字を並べて覚えると効果的だ。下の例では「イクヤマイマイオヤイ」となる。頭文字が各情報を思い出す入口になってくれる。

例題:歴代総理大臣(初代~10代まで)
初代 伊藤博文:
2代 黒田清隆:
3代 山県有朋:
4代 松方正義:
5代 伊藤博文:
6代 松方正義:
7代 伊藤博文:
8代 大隈重信:
9代 山県有朋:
10代 伊藤博文:

順に頭文字のみ10字で記憶!



まとめる

漠然から要点を明確化!
原則+例外の法則

 複数の具体的な情報は、共通する原則をとらえることで、暗記する量を減らせる。例えば下の4つの情報の①~③は、「北に行くほど寒い」ことが原則。試験で「新潟の冬は鹿児島の冬より寒いか?」と問われても、この原則を覚えていれば解答できる。④のような原則に当てはまらない例外は狙われやすいので、そこは頭に叩き込む。教科書などは漠然と読まずに「原則は何か」「例外は何か」を意識して把握し、それを試験までに頭に入れておく。

【例題】
① 東京の冬は沖縄の冬より寒い
② 仙台の冬は東京の冬より寒い
③ 札幌の冬は仙台の冬より寒い
④ 京都の冬は東京の冬より寒い

共通点、例外点をつかむ!


メイン教材に情報集約!
1冊凝縮勉強法

 1冊の問題集を何度もやるのが効果的とよく言われる。しかしこれでは、その1冊の内容は正確に記憶できても、その本に載っていない内容は学べないことになってしまう。
 こうした1冊では網羅できない情報の穴を埋めるには、情報の大元である教科書や参考書を活用。間違えた問題を復習する時など、教科書や参考書で同じページに載っている情報もチェックする。メインの1冊に書かれていない重要事項があれば、書き込んでいこう。

① 特定の教材をベースに勉強する(正確性確保)
② わからない箇所を調べるために、教科書や参考書などの原典を1冊用意する
③ 調べものの際、②の原典で周辺知識まで調べて①の教材に書き込む(網羅性確保)

要点を1箇所に集約して効率的に暗記!


文章は覚えやすく加工!
「つまり…」で覚える

 文章を理解する時に大切なのは、「つまり…」という視点で、エッセンスをできるだけ短くまとめること。この視点で左の例文をまとめると、下のようになる。エッセンスを押さえれば、文章の展開が覚えやすい。教科書などは説明することを目的に書かれていることが多いため、読んでも文意が頭に入りにくい。そのため「つまり…」という視点で情報をとらえ直すこと。この方法は暗記に加えて、英語や現代文などの課題文読解、資料読解の解答の際にも有効だ。

【例文】
 受験生のノートを多数見て思うのは、難関大学に合格する人のノートには明確な目的がある、ということ。その目的は何か。それは、志望校の入試で合格点をとるために、入試で得点を上げることだ。
 そのためにまずノートの中で、ある知識に関連する図、グラフ、表、地図や絵などを加えて、記憶に留めやすくする。ここまでは多くの人がやっていること。
 さらに、入試で正解を導くための工夫も必要だ。間違えた問題をノートにまとめ、なぜ間違えたのか、どんな知識や考え方が足りなかったのかを書き加え、正しい思考を定着させる。
 ただし、そうしたノートも、書いただけではその内容は身につかない。何度も見直すことで理解の穴が埋まり、得点に結びつく。実際、合格者のノートには、見直しの回数が書かれていたり、見直しの際に加筆する余白を設けているなど、見直しが前提に作られているものがほとんどだ。

↓つまり

学力が伸びる人のノートとは──
・正解を導くために作成
・記憶や解答のための工夫がたくさん
・何度も見直されている



しぼる

重要点を先に意識!
「全体⇒部分」確認法

 出題されやすい分野や項目を見極めるには、テキストや参考書の目次をチェック。まず、多くのページが割かれている分野、重要とされる分野を把握する。次に各ページの見出しや強調された部分を確認。そうしてから全体の本文を読み始めることで、大事なところを意識して、そこを集中して読み進めることができる。また、全体の骨組みが頭に入っていれば、知識の定着もしやすい。

「目次」で、これから勉強する単元の重要度を把握する

勉強する単元のページで「見出し」を流し読みする

ページ内の「太字・カラー部分」を拾い読みする


要点を先取りしてから細部を暗記!



リミットで脳を活性!
締め切り効果の活用

 「10分以内に解答できなければ試験に落ちる!」、こう言われれば受験生なら誰もが集中するに違いない。これは、締め切りに間に合わせるようとすることで集中しやすくなる、「締め切り効果」と呼ばれる脳の働き。これを利用して普段から制限時間を設けて勉強して、脳が集中しやすい環境をつくる。この時、時間はぎりぎりに設定するのがポイント。復習時は徐々に時間を減らしていくとさらに効果的だ。


間に合わせようと脳が働く効果を活用!


記憶に適した時間で!
コンパクト学習法

 何時間も続けて勉強している人を見ると、「休憩なんてしていられない」と焦るもの。しかし実は、こうした長時間の勉強は好ましくない。心理学では最初と最後の情報が印象の残りやすく、初頭効果・終末効果と呼ばれている。長時間の学習では、この「最初」と「最後」がそれぞれ1回ずつしかないからだ。
 これを利用して、学習時間を50分などの短時間に設定。初頭効果と終末効果を繰り返すことで、覚えやすい状態をキープできる。



回数を増やす

授業中に定着を!
二度塗り暗記法

 人間は、情報をインプットした次の瞬間から、その情報をどんどん忘れていってしまうものだ。最初の復習が早ければ早いほど、記憶に残りやすいのは言うまでもない。
 例えば授業中、次の内容に移る前や教科書のページをめくる時。先生がちょっとした「間」をあけることはないだろうか。この「間」を利用して、直前にインプットした情報を頭の中で復唱。1度の授業で同じ情報を2度、3度インプットすることになり、覚えやすくなる。

科目横断で連想!
連想ゲーム勉強法

 ある用語「A」を起点にして、それに関係する情報を科目問わず「AといえばAA……」と挙げていく。すでに記憶した情報を芋づる式に思い出していき、確認と復習をする勉強法。例えば世界史のフランス革命から、同年代の北米のゴールドラッシュを確認したら、化学の金の元素記号、遷移元素とその性質を思い出していく。普通、復習はその科目内に限られるが、それを他の科目にも復習の範囲を関連させて広げていく。関連付けにより記憶の強化にもつながる。

正解問題もたまに反復!
サンドイッチ学習法

 「以前、正解できた問題はとばして、できなかったものだけを繰り返した」という声をよく聞く。しかし以前マスターした問題も、その情報は次の瞬間から忘れていってしまうもの。まったく復習しないうちに解けなくなってしまうこともあるのだ。サンドイッチ学習法は、できない問題の復習の間に、できる問題を定期的に挟み込んで復習するというもの。目安として、一度できた問題も3回に1回程度の割合で復習し、しっかりと定着しているかを確認しよう。


論述問題も暗記で攻める!

 「○○について100字以内で説明せよ」といった論述問題も、暗記で対応できると碓井先生。そのポイントは2つある。1つ目は模範解答を暗記することだ。もちろん文章を丸ごと暗記するのではなく、「イメージ化暗記法」や「つまり…の視点」などを活用して、模範解答を図式化。キーワード、すなわち加点ポイントをイメージ化して、暗記する。
 2つ目のポイントは、問題演習時、下書きとして書きたい内容のイメージ図を書くに留め、答案を作成しないことによって暗記の時間を増やすことだ。下書きのイメージ図と模範解答の図と比較することで、論旨の流れのずれやキーワードの抜けがないかを確認する。
 この後は上の「サンドイッチ学習法」で、復習を繰り返そう。

この記事は「螢雪時代(2017年6月号)」より転載いたしました。


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